脂質異常症とは
血液中の脂質、いわゆる血中脂質(LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪 など)の数値(濃度)が慢性的に高い状態が脂質異常症です。以前は、高脂血症と呼ばれていました。しかしその後、HDL(善玉)コレステロールが一定の基準より少ない状態も異常であるということが判明し、現在の病名となりました。
人間の体では、血液中に必要以上の脂質が含まれるようになると、体にとって必要な存在であるコレステロール(細胞膜やホルモンなどを作成する材料)は、血管内で蓄積されるようになり、やがて血液はドロドロになるほか、血流も悪くなって、動脈硬化や血栓症を発症させるリスクを高めるようになります。さらに症状を進行させると脳梗塞、狭心症や心筋梗塞などを引き起こすこともあります。
このような脂質異常症の発症原因については、不摂生な生活習慣(偏食・過食、運動不足、肥満)、遺伝的要因、糖尿病など他の病気や服用している薬の影響などが考えられています。
なお、脂質異常症も他の生活習慣病と同様に初期症状は乏しく、定期的に行っている健康診断の血液検査で血中の脂質の値が高いとか、動脈硬化の進行度をチェックする検査で気づくことが多いです。ちなみに脂質異常症と診断される具体的な数値は以下の通りです。
- LDLコレステロール値≧140mg/dL
- 中性脂肪≧150mg/dL
- HDLコレステロール値<40mg/dL
診断基準について
なお、糖尿病が疑われる場合は検査を行いますが、その診断基準は以下の通りです。
- 空腹時血糖値126mg/dL以上、随時血糖値が200mg/dL以上もしくは75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dL以上の場合
- HbA1c値が6.5%以上
1型糖尿病と2型糖尿病
糖尿病は、インスリンが全く出なくなるか、分泌していても量が少ない、あるいは量が充分でも質が伴っていない場合に血糖値が高くなって引き起こされるわけですが、その原因は主に2つあると言われています。
ひとつは膵臓のランゲルハンス島β細胞(インスリンが産生される場所)が自己免疫などにより破壊、それによりインスリンの分泌が急激になくなってしまう状態で、これを1型糖尿病と言います。もうひとつは、不規則・不摂生な生活習慣やストレス等によりインスリンの分泌量が少なくなってしまう2型糖尿病で、こちらは全糖尿病患者の95%を占めると言われています。そのほかには、他の病気やステロイドなどの薬剤が原因で発症する二次性糖尿病、妊娠時は高血糖な状態になることから発症しやすくなる妊娠糖尿病もあります。
なお1型でも2型でも、糖尿病の特徴でもある血糖値の高い状態が続くと、血管の内皮は損傷し、次第に動脈硬化を招くようになります。また自覚症状が出にくいことも糖尿病の特長なので症状を進行させやすく、さらに放置すれば、細小血管や神経にも障害を受けるようになり合併症※(糖尿病三大合併症の糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害 など)を発症するようになります。このほか大血管で障害が起きると脳梗塞、狭心症、心筋梗塞を起こすこともあるので要注意です。糖尿病と診断されたら、まずはこれら合併症を発症させないことが大切です。そのため、治療の目的は常に血糖値のバランスをコントロールすることになります。
※合併症:ある病気が元になって起こる、別の病気や症状