はなとは
はな(鼻)は嗅覚をつかさどる器官ですが、呼吸器官としての役割も担っており、これも嗅覚同様に重要です。そのため鼻は単に臭いを嗅ぎ分けるだけでなく、肺や気管を守るべく、鼻から吸い込んだ空気を浄化、加湿、加温するなどして、ウイルスや細菌、ほこりが体内に入り込まないようにするフィルターのような役目も兼ねています。これにより肺に清浄な空気を送り込めるようになるのです。
しかし、この鼻が何かしらの原因で病気にかかるようになると、吸い込んだ空気が浄化されなくなり、鼻詰まりなどにより口呼吸が常態化するようになります。そしてウイルスや細菌が喉や肺に直接入り込み、様々な悪影響をもたらすようになるのです。このように鼻に違和感や異常、疾患がある場合も耳鼻咽喉科をご受診ください。
このような鼻の症状はご相談ください(例)
- くしゃみ
- 鼻みずが出る、鼻みずが黄色い
- 鼻づまり
- 鼻がかゆい
- 匂いがわからない
- 鼻や頬が痛む
- 鼻血
- 鼻の腫れ
- いびき など
主な鼻の病気
副鼻腔炎(蓄膿症)
鼻にある副鼻腔と呼ばれる4つの空間(上顎洞・篩骨洞・前頭洞・蝶形骨洞)に炎症が起きることで、様々な症状が現れる疾患です。多くは、風邪の症状が現れて1週間ほどしてから、風邪に続いて細菌感染が副鼻腔に起こり、急性副鼻腔炎を発症するようになります。
主な症状は、鼻水が止まらない、よく鼻をかむ、鼻が常に詰まっているので口呼吸をする、いびきをかく、臭いがわからなくなる、頭痛、などです。これらの症状が落ち着いたとしても、なぜかすっきりしない場合は、炎症が慢性化していることが考えられます。鼻が詰まっている、鼻水が粘性を帯びている、頭重感、臭いが感じないなどの症状が続く場合は要注意です。
なお、副鼻腔炎の治療として薬物療法や排膿洗浄などを行っても治りきらずに慢性化した場合(慢性副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症)は、内視鏡で鼻の内側から副鼻腔の内容物を排出する手術を行うこともあります。
鼻中隔彎曲症
鼻中隔彎曲症とは、鼻中隔と呼ばれる鼻の穴を左右に隔てている壁が、極端に曲がっている、あるいは突出している状態です。ちなみに鼻中隔の曲がりは、医師が観察すればすぐにわかることが多いです。
症状としては、鼻づまり、いびきが酷い、臭いがわからないといった症状がよく現れ、頭痛、肩こり、注意力の減退、鼻血などもみられます。さらにアレルギー性鼻炎や蓄膿症(慢性副鼻腔炎)を発症している場合は、これらの症状はもっと強くなります。
同疾患の治療では、まず点鼻薬で鼻づまりを解消する治療が行われますが、長く続けていると鼻炎を悪化させることも考えられます。そのため、鼻づまりなどの症状が強い場合は、鼻中隔矯正手術を行います。
嗅覚障害
嗅覚(臭いを感じる器官)に何かしらの異常が生じている状態が嗅覚障害です。具体的には、鼻がつまっているわけでもないのに鼻が利かなくなるといったことです。嗅覚は、臭いの元になる嗅素が「嗅粘膜」に付着することで、嗅神経を刺激して大脳に伝わる仕組みなのですが、この経路のいずれかで障害が起きると、臭いを感じられなくなります。